数学の学び方Q&A
中学受験後の落とし穴? 算数脳から数学脳へのバージョンアップ!(2021_6/29)
Q 途中式って書かなきゃダメなんですか?
A えっと、いま1次方程式の応用問題のところですよね。途中式っていうとエックス使って、式立てて解くやつのことかな?
Q えーと、そうです。答えの前に書く式。学校の先生は「途中式も書きなさい」ってうるさく言うんだよね。
A そうですねぇ・・・例えばこういう問題があったとします。
【例題】同じ値段のりんごを6個買って100円の箱に詰めたら全部で1060円になりました。りんご1個の値段は?
Q 160円!
A はやっ(笑)ていうかどうやって考えたのかな。教えてください。
Q 160円が6個で960円でしょ?だから100円の箱を合わせて1060円だからだよ。
A うーん・・・まあ、そうですね。そこんとこ、もうちょっと詳しく。途中の計算とか。
Q えーっとねぇ・・・。うーんと。1060-100=960で、これがりんごの値段だから・・・
A うんうん。
Q だから1個あたり160円!
A ん?(笑)ま、そうだね。960÷6=160ってことだよね。
Q そうそう。けど、これだと「X」使ってないよね。
A そうなんですよね。えーと。数学的に解く場合、まず条件に合わせて立式するんです。
Q 立式?
A りんごの値段がわからないからとりあえず「X円」ということにしておいて、6個で「6X」さらに100円を足したら1060円になりました。
っていうことで「6X+100=1060」っていう式を立てます。
Q はい。それは習いました。
A で、方程式のルールに従って「X=160」という解を得て、これが問題にあっているかを確かめて、OKなので「答え160円」となります。
Q ・・・・・。わかった。ような?
A 算数は「条件に照らし合わせながら立式と計算を繰り返す」のに対して、数学は「最初に立式を済ませ、計算は後からまとめて」やります。
りんご6個の値段は1060-100=960だから・・・とかそういう先読みはなるべくしないで、とにかく方程式を立てることに集中する。
つまり「立式と計算の分業体制」をすることに慣れていってください。
Q うーん・・・。
A 最初から答えが分かっている問題なのに何で? て思うかもしれないけど【面倒がらずに立式して解く】ようにして欲しいんです。
何て言ったらいいのかな。この先どんどん扱う問題が難しくなった時に、暗算や逆算だけでは手に負えなくなる時が必ずやってきます。
Q そうなんだ。
A その時になって「さあ方程式立てなきゃ」って思っても、慣れていないせいでうまくいかなかったり失敗したりすることもあります。
今は本番前の準備運動だと思って面倒がらずに立式する練習をしていきましょう!
(参考:中1男子(中高一貫私立)からの質問より)
【塾長からひとこと】
中学受験を経験してきた子たちは「算数脳」がものすごいです。パターン化された問題を最速で解くよう鍛え抜かれているんですね。
ところが中学で数学を習い始めると、ある種の違和感を感じるようです。そのモヤモヤを引きずったまま、中2中3へと進んでいった結果、
「いつのまにか数学が解らなくなっている!」という事態に陥ることがあるようです。私は過去にそういった例をいくつか見てきました。
その原因の多くは本文で触れたように、中1の段階で「1次方程式を暗算や算数で解いてしまう」ことにあるようです。つまり高い計算能力が裏目に出てしまうんですね。
それでもテストではそれなりに点が取れてしまうので、周りの人間も本人さえも気づかず放置していたりすることも多いのです。ところが扱う関数が、
「1次関数」から「2次関数」「三角関数」へと進んだあたりで破綻は訪れます。これらには算数ワザの基本となる四則演算がほとんど通用しないからです。
こうまで言うと、私が算数をディスっているように聞こえるかもしれませんが、決してそんなつもりはないんです。
いや、むしろ「受験算数独特の感性、発想力、思考パターンなどは素晴らしいもの」だと思っています。
また、それらは将来、数学の難問に立ち向かっていく際に再び必要になります。
例えるなら、算数は「伝統職人のワザ」。数学は「文明の利器、誰でも使える便利な道具」なのです。
であれば、熟練の職人さん(受験算数を学んできた子たち)が最先端の道具(方程式)を早めに使いこなすようになれれば・・・
正に「鬼に金棒」なのは言うまでもないことでしょう。
順列サギにご注意!言葉の魔術に惑わされるな(数A 順列と組み合わせ)2021_6/22
Q 数Aで出てくる「P」と「C」の違いがよく分かりません
A 順列と組み合わせですか。そうですねぇ。まず、例をあげてみましょうか。
【例1】A,B,C,D,Eと書かれたカードがそれぞれ1枚ずつ計5枚あり、そこから1枚ずつ取り出し左から順に3枚並べる場合の数
【例2】A,B,C,D,Eと書かれたカードがそれぞれ1枚ずつ計5枚あり、そこから同時に3枚取り出す場合の数
例1は「₅P₃」と表し、答えは5×4×3=60
例2は「₅C₃」と表し、答えは(5×4×3)/(3×2×1)=10
こういうのですよね。
Q そうそう。それです。『並べるときは「P」取り出すときは「C」』使えばいいんですよね?
でも、そういう分かりやすい問題のときはいいけど、もっと色んなシチュエーションあるじゃないですか。
サイコロ振ったり、赤玉、白玉、取り出したり、グループに分けたり。
いろいろやってるうちに、どういうときに「P」使ってどういうとき「C」なのか、何か、もうよく分かんなくなってきて・・・。
A 『並べるときは「P」選んだり取り出すときは「C」』っていうのは、まあよくある説明ですね。
参考書で調べたり、ネットでググってみると大抵そういう説明に行きつきます。確かにそれはそれで間違ってはいないです。ですが、本質はそこじゃないんです。
Q 本質って?
A えーとそうですね。我々が解く問題は数学とは言っても実際の所、問題文自体は「日本語という言語」で書かれてますよね?
Q そりゃまあ、そうだけど(笑)
A だから言葉のアヤ?っていうのかな。まぎらわしい表現をしようと思えばいくらでも惑わすような言い方って出来てしまうんですよね。
あるいは本質は全く同じ問題なのに言い方を変えただけで別の問題に見えてしまったりとか。
Q 言葉のアヤ・・・
A そして「順列と組み合わせ、確率」の単元は、それが最も顕著に表れてくる分野のひとつなんです。
Q じゃあ、どうすれば・・・
A 順列と組み合わせの本質はですね。ぶっちゃけて言うと『区別できる』か『区別できない』かの違いです。
Q 区別?
A 先の例題で見てみましょうか。【例1】の場合、まず前提条件として5枚のカードはそれぞれ区別できます。
そして並べた3枚のカードは「左」「真ん中」「右」といった具合に位置が特定出来ます。つまり区別できます。
対象の3枚のカードは、種類も位置も完全に識別可能なので、これは「ふつうに順列の計算でOK」ということになります。
Q えーと・・・・・はい。
A 次に【例2】の場合、5枚のカードが区別できるところまでは同じなのですが、同時に3枚取り出し、並べてもいないので位置が区別できません。
だから例1では区別出来ていたはずの3か所の位置の並びの数である「3!=3×2×1=6」が区別できなくなってしまったので「₅P₃」を6で割って答えは10。
そして、言い換えれば、これこそが「₅C₃」の意味にということになります。
Q あー、たしかに。60÷6=10になってる。うーんと、つまり。区別されないときはその数っていうか階乗?で割ってやれば組み合わせの答えになるってことかな?
A まあ、そうですね。そういう解釈で大体あってると思います。じゃあ、最後にこういうのはどうかな。ちょっと考えてみて欲しいんだけど。
【例3】Aと書かれた同じカードが5枚あり、そこから3枚取り出し、テーブル上のカード置き場5か所のうち3か所に並べたとき、その場合の数。
Q ん?なにこれ。全部「A」ってことは区別できない・・・でいいんだよね。で3か所に「並べる」?
えーと、並べるって「P」っぽいけど、でも、これやっぱ組み合わせでしょ(笑)「₅C₃=10」でいいんじゃないかな。
A そうですね(笑)じゃあ【例3】をちょっとだけ言い換えてみますね。
【例4】A,B,C,D,Eと書かれたカード置き場がそれぞれ1つずつ計5か所あり、そこに区別できない3枚のカードを同時に置いた場合の数
Q あ、なんとなくわかります。言い方違うけど同じことを言ってる。これも「₅C₃」
A で、その【例4】と最初の【例2】を見比べて見てください。
【例2】A,B,C,D,Eと書かれたカードがそれぞれ1枚ずつ計5枚あり、そこから同時に3枚取り出す場合の数
【例4】A,B,C,D,Eと書かれたカード置き場がそれぞれ1つずつ計5か所あり、そこに区別できない3枚のカードを同時に置いた場合の数
Q あれ?すごく似てる。ていうか同じじゃん(笑)
A そうそう。【例2】【例3】【例4】と言い方は違っても本質は変わらないんです。そしてその見極めるポイントが『区別できるかできないか』なんです。
日本語の表現に惑わされず、「問題の本質を見抜く」ようにしましょう。その補助として「図を描いてイメージするのもいい」かもですね。
(参考:高1女子からの質問より)
【塾長からひとこと】
本文中では「区別できるかできないか」と書いたんですが、正確に言うと「区別されているかされていないか」です。
「出来る出来ない」と言うと、読み手の主観に頼ることになっちゃいますもんね(笑)
実際の所、「区別されているかされていないか」は問題文中の設定なので、冷静に読めばちゃんと分かるようになっています。
ただ、そうは言っても、ちょっと説明不十分な問題を見かけることも、あるにはあるんですよね・・・
例えば「りんご5個、みかん1個から自由に3個取り出す」というような設定では、りんご5個はそれぞれ同じものとみなしてよいのか?が不明確です。
りんごにもそれぞれ個性がありますから。なので「ただしそれぞれのりんごは区別しないものとする」とかの補足が必要なんですが、
それが欠けている問題に出会うこともあるかもしれないです。そういう時は・・・
ま、仕方がないので、忖度してあげましょう(笑)
P.S.
ちなみに対象が人間の場合は、特に何も書いてなくても自動的に区別されることになってます。
まあ、当然と言ったら当然なのかもですが、りんごから見たら不公平じゃん!って思うかもですね(笑)
高校数学最初の試練「場合分け」(2021_6/15更新)
Q こないだの中間(1学期中間考査)答えの書き方っていうの? 記述とかよくわかんなくて思ったより点取れなかったです。計算問題は出来たんだけど・・・。
A 答え方、記述ねぇ・・・。場合分けの問題とか?
Q あ、そうそう。それです。学校の先生が何か言ってました。でもよくわかんなくて。
A なるほどねぇ。じゃあ、例えば絶対値の外し方なんだけど、こういうのとか |-2|,| 3 |,|-5|,|+7|,| 0 |
Q 2,3,5,7,0 でしょ?
A そうですね。
Q 簡単簡単。プラスとかマイナスの記号を取っちゃえばいいんだよ。
A うーん。取っちゃうか、なるほどねぇ・・・ じゃあさ。こういうのはどう?
【問題】次の絶対値記号を外してください|-X|(ただしXは実数)
Q |-X|=X でしょ?
A それだけ?
Q え?どゆ意味?
A 例えばですよ。Xの値が「-2」だったとしたら・・・
Q 答えは「2」だよ。
A まあ、そうなりますよね。でもさ。何かおかしくない?
Q ??
A さっき|-X|=X って答えたよね。
Q えーと。うん。
A そのXの所に-2を入れたら、|-(-2)|=-2 にならない?
Q えー? そういう時はマイナス記号を取って2にするんだよ。
A そういう時、ねぇ・・・ なるほど。じゃあさ。その「そういう時」ってどういうときかな?
Q うーんと。それは・・・ Xが負の数のときだよ・・・。
A そうそう。その通り。そしてそれが場合分けっていうやつなんですよね(笑)
Q えっとよくわかんない(笑) で、結局答えは何なの?
A 答えはこう。『 X<0のとき |-X|=-X, X≧0のとき |-X|=X 』
Q あー。何か見たことある! でも後ろ半分はわかるけどさ、前半分の意味がわかんないよ。絶対値なのに何でマイナスがついてんの?ていうか、どれが答えなの?
A どれっていうか答えは『 』の中全部です(笑) うーん。たぶんだけどさ。君の思っていた「答え」っていうのは、何か一組の具体的な数字とか文字で「ジャジャン!」て表されたような、きっと、そういうのを想像してたんじゃないかな。
Q えーと、そうかも? うーん。そっか。。。じゃあ、場合によって答えが違ってくるから場合分けってことなのか・・・。
A そうそう。そして『X<0のとき |-X|=-X』の意味はですね。
Q あ、はい。
A 例えばXが-2みたいな負の数のときの答えは、マイナスにマイナスをつけて「-(-2)」にして答えは2だよ。ってことです。
Q そっかぁ。ちょっとだけわかったような気がする(笑)
A えー!ちょっとだけ? (笑)
(参考:無料体験入塾(高1男子)での会話より)
【塾長よりひとこと】高校数学で最初につまづくのが、この「場合分け」なんですよね。
教科書の説明や学校での授業では「さも昔からあったかのような当然顔」で進んで行ったりするので(もちろん、ちゃんと詳しく授業なさっている先生方もいらっしゃいますよ(笑))
生徒たちにしてみれば「結局何が言いたいの?」「答え出ないの?」「何コレ気持ち悪い」「計算なのに文章題なの?」
「意味わかんない」「めんどくさい」「数学嫌い」ってなっちゃうケースが実に多いのです。
まあ、実際「めんどくさい」のは確かです。2次関数の最大最小を文字の範囲で場合分けする問題とかね。私も何回やっても今だに思います。めんどくさいなぁって(笑)
しかし「場合分け」は数学をやっていく上で「この先ずっと付き合っていかなければならないとても重要な概念」なので、
「少々時間を使ってでも最初に深く掘り下げておくべき考え方」なのです。
べつに難しい理論も理屈も公式も必要なくて、よくよく考えてみたらわりと「ふつーのことを言っているだけ」ですので、毛嫌いせずにどんどん場合分けして行きましょう!
公式や定理の覚え方(2021_6/7 更新)
Q どうやったら数学が得意になるの。
A ストレートな問いですね(笑)何か簡単な方法があれば、私も知りたいです。
Q え、そんな(笑)
A しかしまあ、そうですねぇ・・・とりあえず、公式とか? なるべく暗記しないことでしょうか。
Q えっ? 覚えちゃダメなんですか。
A ダメ、ではないですよ。確かに丸暗記したほうが便利な公式も数多くあります。でも、教科書や参考書に書いてある公式を「片端から暗記するのはよくない」です。
Q じゃあ、どうすれば・・・
A まず、何故その公式が成立するのか一度自分で考えてみることです。眺めるだけじゃなくて実際に手を動かして計算して見てください。
すでにあなたが知っている知識を組み立てるだけで「簡単に作れる公式は意外と多い」ものです。
Q でも、覚えちゃった方が速いんじゃ?
A 手っ取り早く暗記したものは忘れるのも早いものですよ?
それに、与えられたもの(公式)を鵜吞みにする(丸暗記)だけでは本来数学に必要な発想力とか分析力が身につかなくなっちゃうんですよ。
Q うーん・・・
A まあ、そうは言っても自作が困難な公式もあります。そういうのは仕方がないので腹をくくって丸暗記しましょうか。
Q 腹をくくるって(笑)えーと。つまり自力で作れる公式は丸暗記しない。無理っぽいやつは暗記しちゃう。そういうこと?
A そうそう。必要に応じて自作できる公式は自分で計算してみる。何回かやっているうちに結局覚えちゃったってことになるのが理想かな。
Q 結局覚えるんじゃん(笑)
A まあ、そうなりますね(笑)・・・でもね。その覚えちゃうまでの「過程」が大切なんですよ。この「ちょっとした回り道」が将来きっとあなたの力になるはずです。
(参考:高1女子(文系志望)からの質問)
教科書について(2021_5/25更新)
Q 教科書って読んだ方がいいですか?
A そうですね。「教科書は予習に使う」のが一番よいと思います。ただし、使い方にはちょっとしたコツがあるんです。
Q コツですか?
A はい。教科書には「例題」っていうのがありますよね。
Q うん。一応見かけたことくらいならありますけど(笑)
A まず冒頭の理論や公式の説明はいったん飛ばして、「最初に例題」を見ます。
Q え? 説明読まなきゃ、意味わかんないんじゃ?
A それがそうとも限らないんですよね。説明読んだら余計に分からなくなったっていうケースは意外に多いです。
Q えー! 何それ(笑)
A 教科書はマジメ過ぎるっていうか、大人の事情といいますか、スキのない完璧な説明をしようとして、むしろ意味不明になっちゃったりすることも多々あるんです。ひと昔前と比べると中学の教科書はだいぶ改善されたんですが、高校の教科書はまだまだですね。
Q うーん・・・
A 恐らく初めは何を言ってるのか分からないと思いますが、解き方を読みながら自分なりに分析してみてください。この「分析」するという過程が大事です。
Q うーん。でも習ってないんだから、どうせ解んないんじゃ?
A 全部は理解できなくてもいいんです。一通り例題と解答を読んで、自分はこの部分が少々ひっかかる。 あるいはここは全く理解不能であるといった具合に「場所を特定」しておきましょう。それだけで学校の先生の言っていることは格段に分かりやすくなるはずですよ。
Q そういうものなのかなぁ・・・
A まず「例題を理解」し、それを参考に「類題を自力で解いてみる」。そうすれば自ずと理論は理解できるようになり、最後に必要であれば公式を暗記する。この手順が教科書との上手な付き合い方だと思います。
(参考:高2女子(理系)からの質問)
次回更新予定「計算ミスについて」